【上海生活】好きってこういうこと
中国に来てビックリしたのは、カップルのいちゃつき具合が半端ないことだ。
もともとこっちでは、仲良しの友達なら肩を組む、手を繋ぐ、腕を組む、は女の子同士(時々男の子同士も)なら当たり前だ。
しかしキャンパス内はもちろん、街中でもレストランでも電車の中でも至る所で密着しながら歩くカップルを見かける。
彼女を後ろから抱きしめながらよちよち歩く彼氏。
お互いの脚をクロスさせて座席に座るカップル。
彼女の肩を抱きながらラーメンを食べ、終いには膝枕してもらったりおっぱい揉んだりしている彼氏…。
目のやり場に困るものの、果たしてこの人たちは公の場でどこまで見せつけてくるのか、つい観察してしまう。
何人か中国人の若い子に聞いてみたが、やはりここまでするのは個人差があるらしい。
はっきりと「そんなことしたら性欲持て余してるのかなと思われる」と言ってくれた子もいた。
よく見かけるにしても、一般的とまでは言えないらしい。
日本は恋人同士でも手を繋がないカップルもいるし、そもそも手を繋ぐこと自体勇気を試されている気がする。
手を繋いでも肩を抱いても不自然ではないけど、少女漫画脳(週刊誌脳?)からするとそれだけで「なんてアツアツなんだ」と思ってしまう。
だから抱き合って歩く彼らを初めて見たときはなにかいけないようなものを目撃してしまったようで、目から鱗だった。
そして、「ちょっとは場をわきまえてよ」と少しだけ不愉快な気持ちになった。
しかもそういう熱愛カップルの大半は普通の容姿の人たちで、全く他人の容姿をとやかく言える身分ではないんだけれど、男女ともに服も化粧もなんだか垢抜けない感じの人が多い。
彼女諸君はまだしも、特に彼氏諸君にイケメンがいたのは見たことがない。
留学生同士の雑談でも、野暮ったいカップルほど密着するのだろうか…と話題になったことがある。
それだけ彼らだけの濃厚な世界があるんだろうなと思って、見かけても気に留めないようにしていた。
それからも彼らを見過ごす場面はしばしばあったが、ふと気がついたことがある。
多くの中年夫婦や、老夫婦も同じように手を繋いで歩いていることだ。
お揃いのジャケットのペアルックで歩く40代くらいの夫婦や、夕方手を繋いで散歩する60過ぎくらいの夫婦。
ジョギングする奥さんの後ろを守るように、歩調を合わせて走る旦那さん。
もちろんごくごく普通の夫婦ばかりだ。
これも日本で見るかというとそう見ない、見たら絶対ツイッターとかで呟いちゃう光景だ。
どれも微笑ましいというか、仲の良さが滲み出ていて幸せな気持ちになる画だ。
彼らが若かった頃、今の若いカップルのように振舞っていたかは分からない。
けれどいつも肌を触れ合いながら接してきたから、年を取っても自然と手を繋ぐんだろう。
今の若い子の熱愛風景の延長線上に、年配組の穏やかかつ親密な距離感があるのかもしれない。
みんな、「好きって触れ合いたいってこと」と言わんばかりだ。
ふと、素直に恋人への愛情を表現するために誰かの目を気にする必要があるのかな、と少し考えた。
まあ節度は必要だと思うけど、案外彼らが間違ってるわけでもないなと最近は思う。
怒ったり泣いたり感情の激しい国だなとよく思うけど、同様に結構愛に溢れた国だなと感じ始めた。
ごく稀に、同性愛ぽいカップルがキャンパス内でキスしているのも見かける。
公然といちゃついているカップルを見ると「お幸せに」と思うようになった。
むしろ、寮の中にいたところで友人たちから「隣の部屋の喘ぎ声がうるさい」という被害報告が絶えない。
しかも外国人寮なのでエロいことしてるのは全員中国人ではない。
それ以前に学生が部屋で致すのは止められないししょうがない。
中でも外でもエロの域まで行ってしまったものはもう耳栓するか目を瞑るしかないな、と侘しく思っている。