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趣味の呟き

【中国東西旅行】2日目 南京ー武漢

 

この日は昼まで南京を観光した後、武漢に向かいます。

 

 

▼中華門

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大虐殺記念館以外に、これといって目的地もなかったので、記念館で読んだ日本軍が中華門を突破して南京を攻略したとの記述を参考に中華門を歩いてみることにしました。

「中華門の戦い」では日本軍が南京にとって最後の砦である中華門で、城壁のトンネルに中国兵を閉じ込めて攻略し、そこから大虐殺が始まったとされてます。

朝8時半開門と同時に入り、そのトンネルを見るなどして「ここで生き埋めになったのかぁ」などとしんみりした空気を感じます。


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トンネルの天井にはカルシウムか何かが鋭利な氷柱になって無数に垂れ下がっており、ちょっと怖くなってそそくさと出ました。

城壁の上は歩けるようになっており、コの字型に連なっている城壁の中央部分から上に上がり、東側の終端を目指して散歩することにしました。

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幸い朝一だったからか、最初の1キロほど一眼レフを持ったおじさんが一人いただけで、あとは時折清掃員とすれ違う以外誰とも遭遇せず、約2キロの道のりが独り占め状態でした。

天気も良く、時折目下の道路を見下ろすと出勤する人や車の往来で活気付いており、それを静かな城壁の上からぼんやり眺めているととても贅沢な気がしてきました。

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さっきまで悲しい歴史を見まくってどんな気持ちで南京を楽しめばいいのか戸惑ってましたが、あんなに人で溢れかえっていた記念館と打って変わってここは人っ子一人いない様子に、少し真面目に捉えすぎるのもいかんなと思い始めました。

どんなに重たい歴史があっても、今を生きる人とはそんなものです。

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贅沢、とは、14億人が住む国でたった一人という孤独を感じられる面白さと気持ち良さです。

この城壁を降りたらまた喧騒の街が待っていて、そうでなくてもあと数時間もしたらこの城壁にもたくさんの観光客が登ってくるのかもしれません。

孤独と言っても私は通りすがりの旅行客だし、何かに疲れて一人になれる居場所を求めてるわけでもありません。

でもこういう引き算で自分の存在感を確かめられる瞬間もまた貴重で、旅の醍醐味だとも思います。

名前も何もない、感覚だけの自分になれるというのは、日常そんなにないことだしなぁ。

 

▼昼ごはん「鸭血粉丝汤」

城壁を降りて、夫子廟周辺をうろうろします。

折角だしお昼は南京名物の「鸭血粉丝汤」に挑戦することにしました。

「鸭血」はアヒル(カモじゃない)の血を固めたプリンとコンニャクの中間みたいなプルプルした食材(写真の茶色い長方形のやつ)、「粉丝汤」は春雨スープです。

基本的に好き嫌いも禁忌もアレルギーも無し、出されたものはほぼなんでも食べられる私ですが、中国に来て以来どうにもこの「鸭血」は気持ち悪そうで食わず嫌いをしてました。

レバーは好物なので嫌いなはずはないんですが、これもいいチャンスだと思って注文。

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感想は、素直に美味い、です。笑

あっさりした春雨スープが美味しいし、鸭血も臭みもなく食感も良くて美味しいです。

ただ私の心理的な問題で、食べ慣れるにはもう少し時間がかかりそうだなと…。

 

▼美齢宮

武漢行きの電車まで時間があるので、バスに乗って蒋介石の官邸で妻・宋美齢の名前をとった「美齢宮」に行くことに。

南京は地下鉄もありますが、上海よりもよっぽどバス交通が発達した都市です。

本数も路線も多く便利です。

夫子廟からバスに乗り込んで美齢宮に向かうんですが、車内で誰かがワイルドスピードでお馴染みの「see you again」を流しています。


Wiz Khalifa - See You Again ft. Charlie Puth [Official Video] Furious 7 Soundtrack

基本中国の公共交通の車内はみんな思い思いに動画や音楽の音を垂れ流してるのがデフォルトなんで不思議な光景でもないんですが、乗客が次々降りていってもこの曲が流れ続けてます。

ワイスピファンとしては「エモいやん…」と歓迎してたんですが、バス降りるときにグラサンかけた運転手のおっさんのスマホからこの曲が流れてたことを知り、しばらく一人で笑いました。

自分の職場を快適にするその工夫、愛すべきです。

中国のこういう自由なところ本当に大好きです。

 

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で、バス停からしばらく散策道を歩くと美齢宮に着きます。

美齢宮でのお目当ては宋美齢専用車だったビュイック

車見るの好きなので、こういうクラシックカーを眺めるのも大好きです。

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地球の歩き方では1946年型とありますが現地の解説板によると1930年代だそうで。

直立8気筒のハイパワーエンジンでこの巨体を動かしてたそうです。

かっこいい〜、とガキどもとおっさんと紛れて写真を撮りまくります。
 

とりあえずビュイック見たしさっさと帰るか、と思っていたのですが、館内の展示で宋美齢水墨画の大家•張大千に師事していたことを知りました。

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張大千と宋美齢の合作。へぇ〜

張大千は近代美術史で、宋美齢は近代(政治)史での頻出単語みたいな偉人ですが、こういうところで繋がるんだな〜と、ちょっと面白くなりました。

 

吉林省の大美女@南京南駅

美齢宮から地下鉄を乗り継いで南京南駅に行き、武漢行きの電車を待ちます。

電車は4時前発、小腹も空いたし三時のおやつになんか食べようと駅構内のパン屋さんでややボリュームのあるサンドイッチを購入。

あいにく椅子が埋まっていたので適当な場所に腰を降ろしてサンドイッチを食べていると、ものすごい勢いで「椅子がない!疲れた!だいたい女の一人旅なんて超疲れるのよ!!」と独り言?電話?を言うお姉さんが横に座ってきました。

やや驚いたものの、こういう人もチャイナスタンダードなので気にせず食べ続けていたら、お姉さんが「はあ!?ねえそんなデカいパン売ってた!?どこで買ったの!?」と食い気味に聞いてきます。

圧倒されながらも「あの後ろのパン屋です…」と返すと、「やだ売ってんだ。私東北出身だからさ、南方はなんでも小さくって嫌なのよ」とお姉さん。

その手には揚州のお気に入りのパン屋で買ったという一斤のデニッシュパンがありました。

その一斤を毟って「食べる?美味しいわよ」とすすめるお姉さん…。

 

中華料理の定説ですが、北京など北方は一皿の量が2、3人分あるかってくらいこんもり出てくるのに対し、上海など南方は同じ値段でも一皿1人前が可愛く盛り付けてある、というのがあります。

ほんでお互い「北方は豪快だけど田舎臭い」「南方は小綺麗だけどケチ臭い」とディスり合う、日本の関東vs関西みたいなローカルバトルがあるのです。

 

で、このお姉様は北京より更に北の吉林省長春のご出身で南方の小さいパンに我慢がならなかった様子。

昔揚州で仕事をしてた時に南京などで不動産を購入しており、時々遊びに来ているそうです。

「南京もだいぶ地価が上がったわね、まだ売らないけどあの時もう一軒買っとけばよかったわ」「もう10歳超えた子供がいるけど、子連れで旅行なんて面倒すぎてムリよ。だから旅行はいつも一人だわ」(旅行できない、とはならないのが素晴らしい)などなどビジネスウーマンの力強いお言葉は聞いてて面白い。

最終的に「あんた普通語下手ね、どこから来たの?」と聞かれ「日本です」と答えると、「嘘、てっきりどっか中国の田舎から出てきた子かと思った〜」と言ってもらいました。

自分の中国語で人民に間違われたのは初めてだったので嬉しかったです。

「北京だったら月収3万元(約50万円)なんて普通にいるから、中国で働けば?」とおすすめされ、謎に記念撮影され、お姉さんは一本先の電車で旅立って行きました。

私レベルでは月1万元稼げるかなあ…と思うところですが、しかし何もかもが豪快で破天荒なお姉さん。

私のことを「日本的小美女(日本のかわい子ちゃん)」と呼んでくれたあなたは「北方的直爽的大美女(北方の率直な美人さん)」です。

美しくて、しっかりした楽しいお姉さんでした。

 

武漢到着、ビジホのピンクチラシ

武漢までの直通列車を押さえられなかったので合肥で乗り換え、7時過ぎに武漢に到着。

途中の車窓が、とても綺麗な田舎の風景でした。

田んぼを突っ切る線路や山の中の村を見ていると以前住んでいた新潟を思い出し、懐かしい気持ちになりました。

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素直に美しい田舎の風景です。こういうの眺められるの、鉄道旅のいいところですね。

 

 

地下鉄に乗ってビジホにチェックインすると、初めてお目にかかる中国のピンクチラシがお出迎えしてくれました。

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「今夜は私がいるから寂しくないよ…」

風呂に入ってるとドアの外でゴソゴソ物音を立てながらこのチラシを突っ込んでくるのがまた怪しくてよいです。

 

17歳でも堂々と風俗できるのか?育成条例とかないの?

と色々疑問もありますが、面白いので全部もらって帰ってきました。

当方女なのでお世話になるとしたらレズ風俗か男娼かですが、果たしてそういうメニューはあるんでしょうか。

中国語レベルが上がったら聞いてみたいものです。

 

▼今日の一曲


你離開了南京 從此沒有人和我說話

再见南京。

 

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