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趣味の呟き

【中国東西旅行】5日目 成都

本日は「小酒館」での夜遊びがメインなので、日中は暇つぶしにパンダを見学したり街をぶらぶらしたりします。

 

 

 

成都大熊猫繁育研究基地

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四川省と言えばパンダの生息地で有名、ということでパンダの保護繁殖をしている「成都大熊猫繁育研究基地」に遊びに来ました。

とは言ってもパンダ自体上野動物園でも上海動物園でも普通に見られるので、大してありがたみを感じません。

来てみると夏休みの家族連れで結構混雑しており、入場券買う前からなんとなく早めに帰りたくなってきました。

 

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実際は大混雑で、人の熱気でガラスが曇っています。

目の前のお姉さんが子供にテレビ電話している映像の方が実際よりもパンダが良く見えるという謎現象が起きていました。

人混みに萎え萎えしながらもこれはちゃんとパンダの写真を撮らないことには帰れないという気になり、頑張ってちゃんと見学することに。

 

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基本パンダは起きている時のほとんどの時間を食事に費やすそうで、この怠惰な生活ぶりが憎たらしくも羨ましくとても可愛い…。

寝返りをうつだけで見学者から「おおおお」と歓声とシャッター音が聞こえてきます。

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足を投げ出して寝るパンダ…。

昔実家で飼っていた犬もだんだん犬である事を忘れて腹を向けて寝ていましたが、このパンダももうパンダに似て非なる生き物である可能性が高いです。

完全にお昼寝する子供や…超可愛い…。

最初は人混みに嫌気がさしていたのがコロッとパンダの虜になり、この動物の恐ろしさを思い知ります。

 

他の動物園と違ってここは赤ちゃんパンダが見ることもでき、いざ長蛇の列に並びます。

保育室のガラス越しに見るのですが、警備員のおじさんが「渋滞するから動画は撮らないで写真だけにして」と交通整理をしています。

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まだ保育器に入った、生まれたばかりの小さな赤ちゃん…。

上野動物園のシャンシャンが生まれた時、たくさんの人が見学希望した理由が今なら分かります。

これは無条件に可愛い。

焦って撮ったら後ピンになってしまいましたが、あのでかい態度で寝てる成パンダも最初はこんなに小さくて愛しい姿で生まれてきたのだと感動です。

 

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引き続き警備員の監視を受けながら生後数ヶ月の子パンダが待っています。

いいぞ!こんなチビなのに太々しさが出てきているぞ!、と心の中でエールを送りながら写真を撮ったら、あとは一瞬で人混みに流されました。

それにしてもこのおしり、ふんわりまんまるで可愛いこと可愛いこと。

 

なんだかんだパンダに癒されてしまい、また人混みで気分が萎える前に街歩きに出ます。

 

▼これが本当の「玉林路」と「小酒館」

パンダエキスが消えないうちに趙雷の《成都》に出てくる道「玉林路」に着きました。

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標識は「玉林西路」とありますが、実際は「玉林路」という通りはなく、「玉林西路」「玉林東路」など方向が入った玉林路しかありません。

「小酒館」があるのはこの玉林西路沿いですが、「小酒館」も実際は3店舗あるので、正確な聖地の場所は決められないのが本当です。笑

でも「玉林」の名前のついた通りにある「小酒館」はこの玉林西路沿いの1店舗だけなので、そこが最も人の訪れる聖地になっているようです。

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玉林西路は商店街のようにカフェやバー、雑貨店などが立ち並び、ぶらぶらするのにちょうどいい通りです。

早速趙雷のポスター(右端)が貼ってある店を見つけ、聖地っぽくなってきました。

 

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歩道で店の小道具を掃除する飲食店のおばちゃんたち。

中国のうららかな午後(通常運転)という感じです。

 

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これが聖地「小酒館」です。

英語に訳すとLittle Barですが、店名の固有名詞で「小酒館」ですので「小さなバー」とは訳さないでください。笑

まだ昼すぎで開店してませんが、私の他にもいそいそ写真を撮っている若者が何人かいました。

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門の前に「小酒館について」という注意書きがあります。

あなたが今いる「小酒館・玉林西路店」は1997年に開業し、当初は現代アートの作家たちが集う場所でした。その後成都におけるインディーズロックバンドのライブハウスになり、これまで多くの芸術家やミュージシャンのご愛顧を受けてきました。

2007年から諸事情でライブ演奏ができなくなったのでライブは「小酒館・芳沁店」で行うことになり、趙雷のMVもそこで撮影しています。

(中略)今は彼の曲《成都》によって「小酒館」は陰ながら幸運に恵まれ、地下から光の集まる場所へ出てくることになりました。光栄であると同時にプレッシャーも倍増です。毎日数えきれないほどの人が「ここがあの曲に出てくる店?趙雷とどんな関係があるの?」と尋ねてきます。確かに、彼は有名になる以前ここでバイトをして芳沁店でライブをしていました。「小酒館」はこの玉林西路店だけではないし、「玉林路」も地図上には存在しませんが、「小酒館」は成都の音楽の名刺がわりなのです。だから地図で「玉林路の端(玉林路的尽头)」を探さなくていいですからね、あれはただ歌詞として必要な一種の表現なだけなので…。

ググれカス、というオーラを糖衣で包んだ注意書きです。

ネットで調べたところ、ここはもう開店前から行列ができる人気ぶりだそうで、人混みが苦手な私はパス決定です。

 

 

表の写真が撮れて満足したところでまた玉林西路周辺をうろつきます。

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折角なので四川名物のスイーツ「冰粉」を食べます。

梅シロップにトコロテンのようなゼリーと、レーズン、ピーナッツ、小豆、クコの実を乗せたものです。

これ、甘酸っぱい梅シロップとレーズンにピーナッツの香ばしさが絶妙にマッチしてめちゃくちゃ美味しいです。

あっさりしてますが食べ応えもあり、夏場に最高のおやつです。

甘いものが苦手な方でも多分大丈夫なさっぱりスイーツなので、四川に行く方はぜひお試しあれ。

 

その後はカフェに入ったり、自家製ドイツビールなのに18元(約300円)から飲める立ち飲みビールバーを発見して思わず注文したら1升(1.8L)サイズが出てきて戦慄したもののビール党員として気合で飲み干したり、アルコール分解のために激辛麺を食べたりして、しっかりゼロ次会をこなしてしまい、気がつけば夜になっていました。

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それ麦茶入れる容器やん…笑

 

▼もう一つの「小酒館」

さて、ようやく開店時間になったので玉林西路店ではない「小酒館・芳沁店」を訪ねます。

ググれるカスなので、芳沁店が玉林西路店から歩いて15分くらい、飲むだけでもOK、玉林西路店に比べたらかなり空いているという口コミ情報をゲットしています。

しかもこの日は月曜日。週初め夜7時からバーに行く奴は中国といえども少ないでしょう。

 

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店内は奥に舞台があり、客席には一人か二人お客さんがいるだけでした。

私はカウンターの椅子に座って、ここがMVに出てきた場所か…とちょっと感動しつつ、「小酒館ビール」というのがあったので注文しました。

 

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変なテンションになりグラスに注ぐ前の写真しか撮っていなかった

隣の席に店員のお兄さんが座っており、「このビール濃いけどいい?」と聞いてきます。

そしたらなんとIPAビールで、ちゃんと濃いめの味がするやつです。

すでに1升ビール飲んでるけどなお美味しい。

聖地であることを忘れ普通にビールを楽しんでしまいました。

 

店員のお兄さんがやや不思議そうな目で私を見てくるので、「私も趙雷のファンで、ここに一度来てみたかったんです。日本から来ました」と伝えると、接客ついでに雑談に付き合ってくれました。

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店内の壁には様々なアーティストの写真やコンサートのポスターが貼ってあります。

お兄さんはそれぞれ指差しながら、「彼は窦唯,王菲フェイ・ウォン)の元旦那」「この人は王三溥、四川出身のミュージシャンで…」と、このライブハウスゆかりのミュージシャンたちを教えてくれます。

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一枚の写真で、お兄さんは「これ、右から2番目が崔健だよ」と教えてくれました。

崔健は中国ロックの第一人者であり、日本でもコンサートを開いたことがある超大御所です。

私が大学で中国語を勉強し始めた時、興味の幅が広がればとCDを買って結構聴いていました。

思わず「知ってる!学生の頃よく聴いてました」と言うと、「実は2日前、成都で趙雷のコンサートがあって、その帰りに崔健と趙雷がここ来て飲んでたんだよ」とお兄さん。

 

え?まじで?、と一気に酒が抜けました。

そんなにたくさん中国の音楽を聴いてるわけでもない、数少ないレパートリーの中のお気に入りの二人がここでつい2日前に酒を飲み交わしてた、という嘘みたいな事実。

 

「ちょうど君と僕が座ってる、このカウンター席に二人は座ってたんだ」

「あ、崔健は山崎飲んでたな。一瓶持って帰っていったよ」

 

とっさに同じ椅子座っていいのかな…と思いましたが、全然知らなかったけどビッグネームの二人が友人だということ、崔健の近況が趙雷のコンサートに関わっていること、でその二人がいた場所でなんか店員のお兄さん(しかもイケメン)とお喋りしてること……

本当は一杯飲んだら帰るくらいのつもりでいたのに、こんな出来過ぎな聖地巡礼でいいのだろうかと感動してしまいました。

 

他にもMVに映っている場所やら色々解説してもらい、結局お兄さんは記念にビールを一本奢ってくれ、「もう要らないから」とその2日前のコンサートのポスターを持たせてくれました。

あまりの好待遇に込み上げるものがありました。

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ホテルに戻り、寝ようとしても嬉しさで心がギュッとして全然眠れませんでした。

北京出身の趙雷にとって成都は第二の故郷と思えるくらい大好きな場所だそうです。

なぜ彼が成都を好きになったのかずっと素朴な疑問でしたが、少し分かった気がします。

きっと「小酒館」や、そこに来たオーディエンス、成都の人々が彼を受け入れたからでしょう。

簡単な理由ですが、彼はここで様々な幸せに恵まれたんだと思います。

 


趙雷 -《無法長大》- 成都 MV (高圓圓出演)

分别总是在九月 回忆是思念的愁 別れはいつも9月 思い出は懐かしさの悲しみ
深秋嫩绿的垂柳 亲吻着我额头 晩秋の萌葱色の柳が 僕の額に口づける
在那座阴雨的小城里 我从未忘记你 長雨の降るこの街で 君を忘れたことはない
成都 带不走的 只有你 成都 連れていけないのは君だけなんだ

 

歌詞の中の「成都」や「你(あなた)」は、彼がここで出会った人々を含めた成都という街そのものを表し、この歌はその成都に贈られたものです。

「連れていけない」という一文に、この街がどんなに離れ難いか言い表されている気がします。

 

成都に来れて、また少し中国を近く感じられました。

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